【予備試験と司法試験】違いや予備試験のメリット、司法試験合格のポイント

監修者
講師 赤坂けい
株式会社ヨビワン
講師 赤坂けい
【予備試験と司法試験】違いや予備試験のメリット、司法試験合格のポイント
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チェック
この記事を読んで理解できること
  • 予備試験と司法試験とは?
  • 予備試験と司法試験の違い、試験科目や合格率
  • 予備試験と司法試験に合格するためのポイント
  • 予備試験合格から司法試験を受験するメリット

あなたは、

  • 予備試験と司法試験の違いは?
  • 予備試験と司法試験はどちらが難しいの?
  • 予備試験と司法試験に合格する方法が知りたい

などとお考えではありませんか?

予備試験は、正式には「司法試験予備試験」といい、文字通り司法試験の受験資格を得るための試験です。

司法試験を受験するためには、大きく分けて「法科大学院ルート」「予備試験ルート」がありますが、予備試験に合格することで、法科大学院を経ずに司法試験を受験できます。

予備試験と司法試験は密接に関連しているため、予備試験ルートは、近年、司法試験合格への最短経路として注目を集めています。

司法試験に合格して法曹(裁判官、検察官、弁護士)を目指す場合、予備試験と司法試験の関係を理解することが極めて重要です。

この記事では、

1章では、予備試験と司法試験とは?

2章では、予備試験と司法試験の違い、試験科目や合格率

3章では、予備試験と司法試験に合格するためのポイント

4章では、予備試験合格から司法試験を受験するメリット

について解説します。

この記事を読んで、予備試験と司法試験の違いや特徴、効果的な学習方法についてしっかり理解し、司法試験合格に向けて役立てて下さい。

1章:予備試験と司法試験とは?

予備試験と司法試験について、以下の2つポイントがあげられます。

  • 予備試験に合格すると司法試験の受験資格が得られる
  • 予備試験の学習は司法試験の合格にもつながる

それぞれ解説します。

1-1:予備試験に合格すると司法試験の受験資格が得られる

予備試験は、法科大学院を経ずに司法試験の受験資格を得るための試験で、予備試験ルートは法曹になるための最短ルートです。

2011年に導入され、法科大学院修了者と同等の学識および実務の基礎的素養があるかを判定することを目的としています。

司法試験法では、予備試験について次のように定めています。

司法試験予備試験は、司法試験を受けようとする者が法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに口述の方法により行う。

予備試験の特徴としては、次のようになります。

  • 年齢や学歴による受験制限なし
  • 短答式、論文式、口述の3段階試験
  • 同一年度内にすべての試験に合格する必要あり
  • 合格後5年間の司法試験受験資格が付与
  • 受験料は比較的安価(17,500円)

1-2:予備試験の学習は司法試験の合格にもつながる

予備試験の学習内容は司法試験の範囲を完全にカバーしており、むしろ予備試験の方が科目数は多くなっています。

そのため、予備試験の勉強は、必然的に司法試験対策としても機能します。

予備試験を受験することで、次にあげる能力が培われます。

  • 基本的な法律知識の正確な理解
  • 法的思考力と分析能力
  • 論理的な文章構成力
  • 実務的な基礎知識
  • 時間管理能力
  • 試験に対するメンタル面の強さ

これらの能力は、司法試験でも同様に必要とされ、実際に予備試験合格者の多くが司法試験でも高い成績を収めています。

令和5年度の実績では、予備試験ルートからの司法試験合格率は、92.6%という驚異的な数字を記録しています。

2章:予備試験と司法試験の違い、試験科目や合格率

予備試験と司法試験の違いとして、次の3つがあげられます。

  • 受験資格
  • 試験科目
  • 合格率と難易度

それぞれ解説します。

2-1:受験資格

予備試験の受験資格は、次のようになります。

  • 年齢や学歴の制限なし
  • 誰でも受験可能
  • 社会人でも仕事を続けながら受験可能

司法試験の受験資格は、次のようになります。

  • 法科大学院を修了、または所定の単位を修得すること
  • 予備試験合格者
  • 受験資格を得てから5年以内に最大5回まで受験可能

2-2:試験科目

予備試験の試験科目は、司法試験よりも広範囲にわたっていて、短答式試験では、予備試験の方が科目数がかなり多くなっています。

そのため短答式試験は、予備試験の方が幅広い学習を求められますが、司法試験は憲法・民法・刑法の3科目を深く掘り下げて学習する必要があります。

論文式試験は、司法試験の方が問題文が非常に長く、複雑な事案から重要な論点を抽出し、適用すべき法律の特定から論理的な結論を記述する必要があります。

予備試験の試験科目は、次のようになります。

【短答式試験】(全8科目)

  • 法律基本科目:憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法
  • 一般教養科目(人文科学、社会科学、自然科学、英語)

【論文式試験】(全10科目)

  • 法律基本科目:憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法
  • 法律実務基礎科目:民事実務基礎、刑事実務基礎
  • 選択科目:倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際私法から1科目選択

【口述試験】(全2科目)

  • 法律実務基礎科目:民事実務基礎、刑事実務基礎

司法試験の試験科目は、次のようになります。

【短答式試験】(全3科目)

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法

【論文式試験】(全8科目)

  • 公法系科目:憲法、行政法
  • 民事系科目:民法、商法、民事訴訟法
  • 刑事系科目:刑法、刑事訴訟法
  • 選択科目:倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際私法から1科目選択

2-3:合格率と難易度

予備試験の受験者数と合格率
予備試験の受験者数は年々増加傾向にあり、令和5年度には13,372人が短答式試験を受験しました。

短答式試験の合格率は20%前後で推移していますが、論文式試験では20%を下回ることが多く、最終合格率は3~4%程度と非常に狭き門となっています。

ただし、予備試験合格者の司法試験合格率は80~90%と極めて高いです。

司法試験受験者数・合格者数・合格率

司法試験の合格率は、近年30〜40%台で推移しています。

令和5年度の受験者数は3,928人で合格者数は1,781人、合格率は45.3%となっています。

予備試験ルートからの合格率が高い一方、法科大学院ルートからの合格率は低く、特に法学未修者コースの修了生は厳しい合格率となっています。

3章:予備試験と司法試験に合格するためのポイント

予備試験と司法試験に合格するためのポイントとして、次の2つがあげられます。

  • 予備試験合格が第一目標
  • 予備試験・司法試験の過去問を活用する

それぞれ解説します。

3-1:予備試験合格が第一目標

司法試験合格を目指す場合、まずは予備試験合格を第一目標とすることをお勧めします。

その理由として、次の3つがあげられます。

  1. 予備試験合格者の司法試験合格率の高さ
  • 90%以上という驚異的な合格率
  • 法科大学院ルートと比較して2倍以上の合格率
  • 上位での合格が期待できる
  1. 学習効率の良さ
  • 予備試験の学習が司法試験の対策を兼ねる
  • 実務基礎知識も同時に習得できる
  • 試験に対する精神力の養成
  1. 経済的メリット
  • 法科大学院の学費不要(150~500万円の節約
  • 仕事を続けながら学習可能
  • 予備校等の費用も自由に選択可能

予備試験合格のため、それぞれの試験の具体的な対策は、次のようになります。

■【短答式試験対策】

  • 基本書による正確な知識の習得
  • 過去問による頻出分野の把握
  • 問題演習による速度と正確性の向上
  • 一般教養の効率的な学習計画立案

■【論文式試験対策】

  • 論理的な文章構成力の強化
  • 時間配分の練習
  • 添削指導の活用
  • 模擬試験での実践的トレーニング

■【口述試験対策】

  • 実務基礎知識の習得
  • ロールプレイング形式での面接練習
  • 法的思考力の口頭での表現練習
  • 基本的なマナーの確認

3-2:予備試験・司法試験の過去問を活用する

効果的な学習のためには、予備試験・司法試験の過去問を戦略的に活用することが重要です。

過去問を活用する具体的な方法として、次の3つがあげられます。

  1. 出題傾向の分析
  • 頻出テーマの洗い出し
  • 問題形式の研究
  • 配点傾向の把握
  • 時期による変化の確認
  1. 答案作成技術の向上
  • 採点基準の研究
  • モデル答案との比較
  • 添削を受けての改善
  • 時間配分の最適化
  1. 独自の学習方法の確立

予備試験・司法試験の合格には、単なる暗記や問題の反復練習だけでは不十分です。

とくに重要なのは、問題の本質を理解し、初見の問題にも対応できる力を養うことです。

そのためには、

  • 「客観的読解法」の習得
  • 「解法パターン」の体系的な理解

が不可欠です。

■「客観的読解法」の習得

これは、問題文の構造を分析し、出題者が意図している重要な論点を客観的に見抜く技術です。

多くの受験者は問題文を主観的に読んでしまい、自分の知っている論点に引きつけて答案を書こうとする傾向がありますが、それでは出題の意図から外れた答案になってしまいます。

客観的読解法を身につけることで、どのような問題が出題されても、的確に論点を抽出し、求められている内容を把握できます。

■「解法パターン」の体系的な理解

これは単なる論証パターンの暗記ではなく、様々な事例に対して、どのような法的構成を選択し、どのように論理を展開していくかという体系的な理解を指します。

問題文の事実関係から適切な法的構成を選び出し、論理的な文章として展開していく能力は、両試験において極めて重要です。

予備試験では特に時間的制約が厳しいため、この能力の有無が合否を分けることも少なくありません。

4章:予備試験合格から司法試験を受験するメリット

予備試験合格から司法試験を受験するメリットは、次の3つです。

  • 予備試験ルートは司法試験への合格率が高い
  • 予備試験に合格すると就職にも有利
  • 予備試験は法科大学院ルートより金銭的負担が少ない

それぞれ解説します。

4-1:予備試験ルートは司法試験への合格率が高い

予備試験合格者が司法試験で高い合格率を達成できる理由は、予備試験に合格するための対策が、司法試験に直結している結果といえます。

予備試験合格者の司法試験合格率が90%以上という驚異的な高さを誇る背景には、予備試験を通じて培われる総合的な法的能力の高さがあります。

予備試験では、司法試験以上に広範な法律知識が要求され、さらに実務基礎能力も問われます。

この試験を突破するプロセスで、法律の体系的理解と深い洞察力が自然と身についていくのです。

また、予備試験の学習を通じて養われる精神面での強さも、司法試験合格の重要な要因となっています。

予備試験では、同一年度内に3つの試験形式すべてに合格する必要があり、約6ヶ月という長期間にわたって高いモチベーションと集中力を維持しなければなりません。

さらに、論文式試験では司法試験以上に厳しい時間的制約の中で答案を作成する必要があります。

このような過酷な条件をクリアしてきた予備試験合格者は、司法試験本番でも強靭な精神力を発揮し、的確な判断のもと実力を十分に発揮することができるのです。

4-2:予備試験に合格すると就職にも有利

予備試験に合格すると就職にも有利に働くポイントとして、次の2つがあげられます。

  1. 大手法律事務所での評価

予備試験合格者は、法曹界において高い評価を受けています。

特に大手法律事務所では、予備試験合格者を積極的に採用する傾向が顕著です。

その理由は、予備試験合格者が持つ卓越した法的能力と問題解決能力にあります。

4%という狭き門を突破できる実力は、法律実務の現場でも大いに期待できる能力として評価されているのです。

実際、大手の法律事務所などでは、予備試験の論文式試験合格者を対象とした特別なインターンシッププログラムを設けています。

このインターンシップを通じて、司法試験合格前に内々定を獲得できるケースも少なくありません。

また、予備試験合格者は給与面でも優遇される傾向にあり、将来のパートナー候補として期待されることも多いようです。

  1. 将来のキャリア展望

予備試験合格というキャリアは、企業法務部門への転身や専門性の高い分野での独立開業など、様々なキャリアパスを選択できる可能性が高まります。

それは、予備試験合格という実績が、高い学習能力と目標達成能力の証明となっているからです。

法律事務所での経験を積んだ後、自身の専門分野で独立したり、企業の法務部門でリーダーシップを発揮したりと、活躍の場は広がっていくことでしょう。

4-3:予備試験は法科大学院ルートより金銭的負担が少ない

予備試験は、法科大学院ルートより金銭的負担がかなり少ないです。

具体的な費用を比較すると以下の通りです。

【予備試験ルート】

  • 受験料:17,500円
  • 予備校費用:0~150万円(選択制)
  • 教材費:10~30万円程度

合計:概ね200万円以下

【法科大学院ルート】

  • 学費:150~500万円
  • 予備校費用:0~150万円(選択制)
  • 教材費:30~50万円

合計:200~700万円程度

まとめ:予備試験と司法試験の違いと合格のポイント

予備試験と司法試験の攻略に向けた重要ポイント。

  1. 戦略的な学習計画
  • 予備試験合格を第一目標とする
  • 両試験の関連性を意識した学習
  • 効率的な時間配分
  • 的確な教材選択
  1. 基礎力の確実な養成
  • 法律基本科目の徹底理解
  • 一般教養の効率的学習
  • 実務基礎知識の習得
  • 論理的思考力の向上
  1. 実践力の強化
  • 過去問による演習
  • 時間管理能力の向上
  • 答案作成技術の磨き込み
  • 模擬試験の活用
  1. メンタル面の強化
  • 長期的な学習計画の維持
  • 試験本番での実力発揮
  • ストレス管理
  • モチベーション維持

予備試験と司法試験は確かに難関試験ですが、正しい対策と地道な努力によって、合格は十分に目指すことができます。

この記事で解説した内容を参考に、効果的な学習計画を立て、着実に実行していくことで、法曹への夢を実現させてください。

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