京都大学法科大学院(京都ロー)を徹底解説!入試難易度と司法試験合格率
目次
この記事を読んで理解できること
- 京都大学法科大学院(京大ロー)の概要
- 京都大学法科大学院の司法試験の合格率
- 京都大学法科大学院の入試情報
- 京都大学法科大学院の特徴
- 法科大学院ルートの場合も予備試験を受験するのがおすすめ
あなたは、
- 京都大学法科大学院のことが詳しく知りたい
- 京都大学法科大学院に進学すれば司法試験に合格できるのか知りたい
- 入試の内容や難易度を知りたい
とお考えではありませんか?
京都大学法科大学院は、法科大学院別の司法試験合格率で度々1位になっており、トップクラスの成績を誇る法科大学院です。
法曹を目指す多くの方が、進学先として検討するのではないでしょうか。
京都大学法科大学院には著名な教授が多く、教育の質の高さに定評がありますが、その分予習の量が多いため、学習意欲の高い学生におすすめです。
ただし、過去5年間で最も高い司法試験合格率は約70%であり、京都大学法科大学院に進学したとしても、司法試験に簡単に合格できるわけではありません。
この記事を読めば、京都大学法科大学院の司法試験結果や入試の内容、進学後の実情まで知ることができ、進学を目指すかどうかの判断材料となるでしょう。
具体的には、
1章で京都大学法科大学院の基本情報
2章で京都大学法科大学院の司法試験での結果
3章で入試の内容や難易度
4章で京都大学法科大学院の特徴
5章でまずは予備試験に挑戦することをおすすめする理由
について、詳しく解説します。
京都大学法科大学院のことを正しく理解し、自身の司法試験合格への道筋を見極めていきましょう。
1章:京都大学法科大学院(京大ロー)の概要
まずは、京都大学法科大学院の概要を紹介します。
そもそも法科大学院とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
法科大学院(ロースクール)とは?進学するメリット・デメリットを徹底解説
1-1:基本情報
京都大学法科大学院の基本情報を以下にまとめました。
他の法科大学院と同様に、法学未修者は3年間、法学既修者は1年次が免除となり、2年間のカリキュラムとなっています。
国立の法科大学院の入学料と授業料は一律に定められています。
費用面でいえば、年間授業料が100万円前後する私立の法科大学院よりは通いやすいといえるでしょう。
1-2:奨学金や授業料免除の制度
法科大学院生も対象となる京都大学独自の取組みとして、以下の入学料や授業料の免除制度が設けられています。
参照:京都大学「2024年度 入学料免除(徴収猶予)・授業料免除出願のしおり」
京都大学独自の奨学金制度はありませんが、日本学生支援機構の奨学金などが利用できます。
これらの支援制度は手続期間が決まっており、さまざまな証明書などの準備が必要なため、入学を検討している段階から情報収集を始めておきましょう。
2章:京都大学法科大学院の司法試験の合格率
京都大学法科大学院の司法試験合格率や他の法科大学院との比較について、詳しく解説します。
2-1:令和6年司法試験の合格率は49%
まず、これまでの京都大学法科大学院の司法試験結果を紹介します。
以下は、令和元年~6年の司法試験における京都大学法科大学院の受験者数、合格者数、合格率です。
令和6年の司法試験では、受験者数217人、合格者数107人、合格率は49.3%という結果でした。
令和3年以降60%以上の合格率を維持し、令和5年は70%近い合格率を出していましたが、令和6年は合格率が大幅に低下しています。
ただし、全体の合格率の平均値も下がっていることから、個別の要因ではない可能性があります。
なお、令和5年の試験から受験者数が大幅に増えているのは、在学中受験が可能になったからです。
在学中受験とは、法科大学院の在学生が所定の要件を満たすことで、修了を待たずに司法試験を受験できる制度です。
2-2:令和6年の法科大学院別合格率は第2位
次に、法科大学院全体の合格率のランキングを見ていきましょう。
以下は、過去6年間の司法試験における合格率トップ5の法科大学院です。
ただし、安定して高い実績を出している法科大学院で比較をするため、合格者数が50人以上の学校に限定しています。
京都大学法科大学院は、令和5年までの5回の試験のうち4回でトップの成績を収めており、全法科大学院の中でも最高レベルの司法試験合格率を誇っています。
しかし、法科大学院の合格率は最高でも60~70%程度にとどまるため、上位の法科大学院に進学したとしても、司法試験合格は決して簡単ではないといえるでしょう。
3章:京都大学法科大学院の入試情報
京都大学法科大学院の入試情報として、以下の点を確認しておきましょう。
- 入試倍率は約3倍
- 入学者のうち他大学出身は約半数
- 募集人数
- 入試スケジュール
- 出願書類
- 選抜方法
- 筆記試験の出題傾向
- おすすめの入試対策
ここでは令和7年度の学生募集要項に基づき、それぞれ説明します。
3-1:入試倍率は約3倍
京都大学法科大学院のこれまでの入試倍率は約3倍です。
以下は、過去6年分の京都大学法科大学院の入試倍率(受験者数÷合格者数)です。
※参照:京都大学法科大学院「選抜結果」
全体の倍率は法科大学院の中でも平均的ですが、法学既修者と法学未修者の入試倍率で差があるのが特徴で、法学未修者枠が人気となっています。
入試倍率自体は特別高くありませんが、京大生を含む多くの優秀な学生が受験する傾向があるため、実質的な難易度は見かけの倍率以上に高くなるでしょう。
3-2: 入学者のうち他大学出身は約半数
京都大学法科大学院の入学者のうち、約半数が他大学出身者となっています。
令和6年度の入試結果では、全151名の入学者のうち、他大学出身者は71名でした。
入学者が多いおもな大学は、大阪大学、同志社大学、神戸大学、北海道大学です。
法学既修者の中では38%、法学未修者に限れば92%が他大学出身者となります。
なお、社会人の入学者は151名中17名、非法学部出身者は20名となっています(社会人かつ非法学部出身者は重複してカウント)。
京都大学の法科大学院であることから、敷居が高いと思われがちですが、他大学の学生や社会人にも広く門戸が開かれているといえるでしょう。
3-3:募集人数
京都大学法科大学院の令和7年度入学における募集人数は、以下のとおりです。
法学既修者の「法学部3年次生出願枠」は、大学3年生からの飛び入学を認める制度です。
「5年一貫型教育選抜」とは、京都大学法学部の「法曹基礎プログラム」を修了見込みの学生が対象となります。
「法曹基礎プログラム」とは、令和2年から開始された、法学部3年間と法科大学院2年間の一貫した教育で効率的に法曹養成を目指す制度です。
法学未修者の特別選抜は、非法学部出身者または社会人のみに出願資格を認めるものです。
この特別選抜だけでなく、特に社会人はその他の選抜枠においても有利に扱うとされており、強い意欲や社会人としての経験をアピールすることで、高く評価される可能性があります。
3-4:入試スケジュール
令和7年度入学の京都大学法科大学院の入試スケジュールは、以下のとおりです。
一般的には私立の法科大学院の日程の方が早く、6月頃から出願期間が始まり、試験は7~9月頃に実施されます。
その後、9月以降に国立の法科大学院の試験が実施されるため、私立と国立を併願する受験者は少なくありません。
また、予備試験は7月に短答式試験、9月に論文式試験、1月に口述試験が実施されるため、予備試験の論文式試験を受けたうえで、京都大学法科大学院を受験できます。
負担が大きいと感じるかもしれませんが、予備試験の経験を積むことで、法科大学院入試で余裕を持って実力を発揮することができるでしょう。
3-5:出願書類
京都大学法科大学院への出願には、以下の書類が必要です。
- 入学願書
- 受験票・写真票
- 履歴書(所定の用紙)
- 電算処理原票(所定の用紙)
- 成績証明書
- 卒業(見込)証明書
- 法曹基礎プログラムの修了見込みに係る確認票(対象者のみ)
- 自己評価書(所定の用紙)
- 入学検定料(30,000円)収納証明書
- 受験票等送付用封筒(所定の封筒)
- あて名票(所定の用紙)
- その他資料(自己評価書の内容を裏付ける資料)
各項目の所定用紙は、以下のサイトでダウンロードできます。
TOEICなど外国語能力を表す書類の提出は、必須ではありません。
自己評価書は審査の対象となり、学業の自己評価、学業以外の活動実績、社会人としての活動実績、出願の動機などを記載するので、力を入れて準備する必要があります。
参照:自己評価書
社会人の場合は在職証明書などの客観的資料を添付する必要があるので、忘れないように注意してください。
法学未修者の特別選抜の口述試験では、自己評価書の内容に関しても質疑がされるので、具体的な実績や自己の強みを明確に記載しましょう。
3-6:選抜方法
京都大学法科大学院の入試では、学業成績などの出願書類の審査結果に、選抜枠ごとの試験成績を加えた総合点で合否が決定されます。
以下のとおり、試験と書類審査の得点比率や、試験の内容は各選抜枠で異なります。
いずれの選抜枠でも書類審査の点数は決して低くありません。
ただし、法学既修者の通常の選抜枠や法学未修者は試験の配点の方が高く、やはり試験の成績が合否を左右するといえるでしょう。
しかも法律科目試験については、1科目でも満点の40%に満たなければ不合格になるため、全ての科目で一定水準以上の学力が必要です。
なお、法律科目試験における科目ごとの配点は以下のとおりです。
■法学既修者の通常の選抜枠(7科目550点満点)
- 憲法、商法、民法、刑法:各100点
- 行政法、民事訴訟法、刑事訴訟法:各50点
■法学部3年次生出願枠(4科目350点満点)
- 憲法、民法、刑法:各100点
- 商法:50点
3-7:筆記試験の出題傾向
法学既修者の通常の選抜枠と法学部3年次生出願枠で課される法律科目試験、および法学未修者の一般選抜の小論文試験について、最近の出題傾向を紹介します。
■憲法
出題は2問です。第1問は人権分野(表現の自由・平等など)、第2問は統治分野(特に司法権など)が出題される傾向があります。
■行政法
出題は1問です。出題範囲は行政法総論と行政訴訟に限られます。
訴えの利益(特に処分後の利益存続)が頻出で、行政指導の法的性格や処分の違法性なども出題されます。
■民法
出題は2問です。物権(特に譲渡担保・抵当権)と売買契約などが頻出で、複雑な事例での総合的な判断が問われる傾向があります。
■民事訴訟法
出題は1問です。出題範囲は通常訴訟の第一審手続に限られます。
訴訟要件(当事者能力など)、訴訟行為(自白など)、既判力に関する基本的論点が出題の中心です。
■刑法
出題は2問です。第1問は違法性阻却・責任阻却事由や共犯論などの総論的論点、第2問は財産犯を中心とした各論の基本犯罪類型を問う傾向があります。
■刑事訴訟法
出題は1問です。証拠法(違法収集証拠・伝聞法則)、強制処分(逮捕・勾留・捜索差押え)、公訴提起(訴因)といった重要な基本原則を問う傾向があります。
■商法
(法学既修者の通常の選抜枠)
出題は2問です。商法(第3編海商に係る部分を除く)、会社法、手形法、小切手法その他の商法分野に関する法令に基づき出題するとされています。
第1問は会社法(特に取締役の義務・責任、株主総会決議)、第2問は商法総則・手形法(特に商号・手形行為)から出題される傾向があります。
法学部3年次生出願枠の商法の出題範囲は会社法に限られ、通常の出願枠の第1問のみが出題されます。
■小論文
社会制度や倫理に関する論説文を題材に、著者の主張の正確な理解、論理的な分析力、自説の説得的な展開を問う傾向があります。
3-8:おすすめの入試対策
京都大学法科大学院を目指すなら、予備試験も目指して学習し、実際の試験を先に経験しておくことをおすすめします。
京都大学や大阪大学など、入試で戦う可能性の高い大学において予備試験の受験者数は少なくなく、彼らと勉強量や経験値で差がついてしまうからです。
参照:文部科学省「令和5年司法試験予備試験受験状況(大学生)」
京都大学法科大学院入試と予備試験は、どちらも法律基本7科目が出題範囲となっており、並行して試験対策を進められます。
予備試験は非常に難易度が高いため、過去問などに取り組むことで法的思考力や論述力が養われ、それらは法科大学院入試でも大いに活かせるでしょう。
さらに、予備試験に合格できれば、より早期に、より高い確率で司法試験合格を目指せるというメリットがあるため、受験して損はありません。
なお、京都大学法科大学院入試の過去問は以下のサイトで公表されているため、独自の出題傾向などについては必ず確認するようにしましょう。
4章:京都大学法科大学院の特徴
京都大学法科大学院の特徴としては、以下の4つが挙げられます。
- 教授陣の質が高く優秀な学生が多い
- 討議を重視した少人数教育がおこなわれる
- 研究者と実務家教員が密に連携している
- 予習の量が多い
それぞれ説明します。
4-1:教授陣の質が高く優秀な学生が多い
京都大学法科大学院では、憲法、民法、刑法など各法分野で著名な教授陣が揃っているため、質の高い教育が受けられます。
法改正などにも携わるトップクラスの教授陣の講義により、最新の法理論を深く学べるのです。
その内容は司法試験よりも難しいともいわれ、学生たちの学力レベルを押し上げる結果となっています。
内部進学生が優秀なのはもちろんのこと、そのような質の高い教育を求めて、学習意欲の高い学生が集まっているのも特徴です。
学生同士で切磋琢磨し、優秀な仲間と議論を重ねることで、独学では得られない多角的な視点での学びを得ることができるでしょう。
4-2:討議を重視した少人数教育がおこなわれる
京都大学法科大学院では、討議と対話を重視した少人数教育が実施されています。
学生の主体的な学習を促進し、実務で必要とされる思考力と対話能力を徹底的に鍛えることが目的です。
必修科目はクラス制による少人数授業であり、演習方式で実施する授業については、すべての科目で受講者数の上限を 30名程度に限定しています。
少人数・双方向形式の授業では、自分の考えを発言する機会が多く設けられ、教員と学生の距離が近いことも大きな利点です。
また、段階的な教育を行うことで、各学生の理解度に応じた丁寧な指導が可能となり、専門知識の定着にも効果的です。
4-3:研究者と実務家教員が密に連携している
京都大学法科大学院では、研究者教員と実務家教員が密接に連携し、理論と実務の両面から充実した教育を提供しています。
たとえば、「民事法文書作成」という実習科目では、研究者教員と実務家教員が共同で授業を担当しているのです。
その他、実務家教員のみが担当する授業科目については、関連分野の研究者教員を連携教員として指定しています。
また、法律事務所や企業の法務部で研修を行う「エクスターンシップ」では、実務家教員を連携教員として指定しています。
学生は法律の理論的な理解と実務的な適用能力を同時に身につけられ、研究者と実務家の異なる視点を学ぶことで、より多角的な法的思考力を養うことができるでしょう。
4-4:予習の量が多い
京都大学法科大学院では、学生に対して多量の予習を求めることで知られています。
特に双方向・多方向形式の授業では、予習を前提に教員からさまざまな質問が投げかけられ、学生がそれに答える形で授業を進めるのが特徴です。
事前に基本書や判例などを読み込んだうえで、自分なりの考えをまとめ、授業での討論に備える必要があります。
講義形式であっても、授業前に予習課題が与えられ、学生の積極的な参加が求められます。
授業のレベルも高いため、予習なしに理解することは難しいでしょう。
多量の予習を通じて、深い法的思考力を養うことができますが、強い意志をもって勉強に取り組む必要があります。
5章:法科大学院ルートの場合も予備試験を受験するのがおすすめ
京都大学法科大学院への進学を目指す方であっても、予備試験を受験することをおすすめします。
京都大学法科大学院入試の受験者の中には予備試験経験者が相当数いますが、彼らと対等に戦うには、やはり自分自身も予備試験を受験するのが一番だからです。
どちらの試験も法律基本7科目が試験範囲になっており、予備試験のための学習は、京都大学法科大学院の入試対策にも直結します。
また、一度予備試験で試験本番を経験すれば、入試の方も落ち着いて臨むことができるでしょう。
何より、予備試験に合格すれば、法科大学院に行かずに司法試験を受験できるため、挑戦する価値が大いにあります。
法科大学院ルートと予備試験ルートのどちらを選ぶかで迷っている方は、2つのルートを徹底比較している以下の記事が参考になります。
法科大学院と予備試験を徹底比較!司法試験合格におすすめのルートは?
まとめ|京都大学法科大学院は質の高い授業を受けたい人におすすめ
京都大学法科大学院は、司法試験合格率も教育の質もトップクラスの法科大学院です。
京都大学法科大学院の主な特徴としては、以下の点が挙げられます。
- 令和5年まで司法試験合格率1位
- 入試倍率は約3倍
- 入学者の約半数が他大学出身者
- 教授も学生もレベルが高い
- 研究者教員と実務家教員が密に連携
これらを踏まえうえで、京都大学法科大学院を目指す方には、まず予備試験の受験をおすすめします。
そのおもな理由は、以下の3つです。
- 予備試験経験者と入試で対等に戦うためには、自分自身も予備試験を受験するのが一番
- 予備試験と京都大学法科大学院入試のどちらも法律基本7科目が試験範囲
- 予備試験に合格できれば、より早期に、より高い確率で司法試験合格を目指せる
ただし、最難関といわれる予備試験の合格を目指すなら、試験に特化した効果的な対策が不可欠です。
「ヨビロン」では、予備試験特有の出題傾向と対策法を熟知した、予備試験1桁合格者が提唱する「客観的読解法」や「解法パターン」を学べます。
試験本番で初見の問題が出ても対応できるこれらの方法は、他では絶対に学べません。
今なら、以下のLINE登録により、「解法パターン」とその活用方法などを解説した動画が無料でご覧いただけます。
ぜひ、最難関試験合格への第一歩として、お役立てください。
LINE特典動画では、私が提唱する「解法パターン」とその活用方法の一端をお見せします。
動画①では、「判例の射程とは何か」を予備試験の過去問を題材にしながら分かりやすく解説します。この解説を聞いた受講生からは「判例の射程の考え方・書き方がようやくわかった!」との言葉をいただいております。
動画②では、試験開始前に見ることで事案分析の精度が格段にあがるルーズリーフ一枚に収まる目的手段審査パターンまとめです。
動画③では、どの予備校講師も解説をぼやかしている生存権の解法を明確にお渡しします。
そして、動画④では③の生存権の解法パターンを使って、難問と言われた司法試験の憲法の過去問の解説をします。
是非、解説動画を受け取って、世界を変えてください。