一橋大学法科大学院(一橋ロー)に入るには?入試難易度と司法試験合格率
目次
この記事を読んで理解できること
- 一橋大学法科大学院(一橋ロー)の概要
- 一橋大学法科大学院の司法試験の合格率
- 一橋大学法科大学院の入試情報
- 一橋大学法科大学院の特徴
- 法科大学院ルートの場合も予備試験を受験するのがおすすめ
あなたは、
- 一橋大学法科大学院のことが詳しく知りたい
- 一橋大学法科大学院の司法試験の合格率が知りたい
- 入試の内容や難易度を知りたい
とお考えではありませんか?
一橋大学法科大学院は、全国の法科大学院の中でもトップを争う高い司法試験合格率を誇る法科大学院です。
進学先として検討している方も多いと思いますが、具体的な司法試験結果や入試の難易度などが気になるところでしょう。
結論として、司法試験の合格率は令和5年の試験まで60~70%を維持していましたが、令和6年の試験では約49%でした。
入試はTOEIC点数による足切りや面接が課されるという特徴があり、少人数制を敷いているためか、入試倍率が3倍以上と司法試験合格率上位校の中で高めになっています。
この記事を読めば、一橋大学法科大学院の司法試験合格率や入試の難易度、さらには学修環境の特徴まで詳しく知ることができ、進路選択に役立つはずです。
具体的には、
1章で一橋大学法科大学院の基本情報
2章で一橋大学法科大学院の司法試験での結果
3章で入試の内容や難易度
4章で一橋大学法科大学院の特徴
5章でまずは予備試験に挑戦することをおすすめする理由
について、詳しく解説します。
一橋大学法科大学院の特徴をよく知り、自分の適性に合わせた進路を選択していきましょう。
1章:一橋大学法科大学院(一橋ロー)の概要
一橋大学法科大学院の概要を紹介します。
法科大学院制度の詳しい説明や、進学するメリットやデメリットについて知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
「法科大学院(ロースクール)とは?進学するメリット・デメリットを徹底解説」
1-1:基本情報
一橋大学法科大学院の基本情報は以下のとおりです。
法科大学院共通の制度として、3年間の法学未修者コースと、1年次の基礎教育が免除される2年間の法学既修者コースがあります。
国立の法科大学院のため、年間の学費が100万円前後する私立の法科大学院と比べると学費は抑えられます。
都内にありますが、都心から離れて自然豊かな環境の中にあるのが特徴です。不便を感じることもあるかもしれませんが、学修に集中できる環境ともいえるでしょう。
1-2:奨学金や授業料免除の制度
一橋大学法科大学院では、以下のとおり独自の取組みとして、経済的支援の制度を複数用意しています。
この他にも、全国の法科大学院を対象とした日本学生支援機構の奨学金や民間団体による奨学金があります。
これらの支援制度は受付期間が決まっており、多くの書類を準備する必要があるため、利用を希望する場合は早めに公式ホームページで確認するようにしましょう。
2章:一橋大学法科大学院の司法試験の合格率
ここでは、一橋大学法科大学院のこれまでの司法試験合格率や、他の法科大学院と比較したときの順位について解説します。
2-1:令和6年司法試験の合格率は約46%
まず、一橋大学法科大学院のこれまでの司法試験合格率を見ていきます。
以下は、令和元年~6年の司法試験における一橋大学法科大学院の受験者数、合格者数、および合格率です。
令和6年の司法試験では、受験者数123人、合格者数60人、合格率は48.8%という結果でした。
令和5年の試験までは60~70%と、全法科大学院の中でも高い合格率を維持していましたが、令和6年の試験は合格率が伸び悩みました。
しかし、令和6年は京大や東大など他の法科大学院の合格率も大幅に低下しており、個別の要因ではない可能性があります。
なお、令和5年に受験者数が大幅に増加しているのは、この年から在学中受験が可能になったからです。
在学中受験とは、法科大学院の在学生が所定の要件を満たすことで、修了を待たずに司法試験を受験できる制度です。
2-2:令和6年の法科大学院別合格率は第3位
次に、一橋大学法科大学院の司法試験合格率が、法科大学院全体でどの順位にあるかを見てみましょう。
以下は、過去6年間の司法試験における合格率トップ5の法科大学院です。なお、より実質的な比較をおこなうため、合格者数が50人以上の法科大学院に絞って比較しています。
一橋大学法科大学院は、過去6年間の司法試験において、常に上位3位以内に入っており、非常にレベルが高いことが分かります。
しかし、最高レベルともいえる一橋大学法科大学院でも、特に令和6年では受験者の半数以上が司法試験に合格できていないのが実情です。
上位の法科大学院に入ったとしても司法試験に合格できるとは限らず、自身で確実に合格する力をつけていく努力が不可欠です。
3章:一橋大学法科大学院の入試情報
ここでは、一橋大学法科大学院の入試について、以下の点を紹介します。
- 近年の入試倍率は3~4倍
- 合格者の約6割が他大学出身者
- 合格者のTOEIC最低点は750点
- 募集人数
- 入試スケジュール
- 出願書類
- 選抜方法
- 筆記試験の出題傾向
- おすすめの入試対策
2025年度(令和7年度)の募集要項に基づき、それぞれ説明します。
※参照:
一橋大学法科大学院「2025年度入学者(一般)選抜試験募集要項」
一橋大学法科大学院「2025年度入学者(5年一貫型教育選抜)募集要項」
3-1:近年の入試倍率は3~4倍
近年の一橋大学法科大学院の入試倍率は3~4倍です。
以下は、過去6年分の一橋大学法科大学院の入試倍率(受験者数÷合格者数)です。
全体の倍率は、京大、東大、慶應などの司法試験合格率上位の法科大学院の入試倍率が2~3倍であるのに対し、高めになっています。
一橋大学法科大学院の入試倍率は、高いときで6倍に上がったこともあり、年によって変動が大きいのが特徴です。
また、司法試験合格率の高さから、レベルの高い受験者が集まる傾向にあるため、実際の難易度は見かけの倍率以上に高くなると考えられます。
3-2:合格者の約6割が他大学出身者
令和6年度の一橋大学法科大学院入試の合格者のうち、約6割が他大学出身者です。
既修者の合格者75名のうち慶應義塾大学9名、早稲田大学8名、中央大学4名、東京大学3名など、全国15の大学から入学者が集まっています。
未修者についても、合格者22名のうち慶應義塾大学4名、東京大学3名、国際基督教大学3名など12校の多様な大学から合格者を出しています。
参照:一橋大学法科大学院「2024年度入試の経過と結果について」
なお、社会人の合格者は97名中11名、非法学部出身者は16名です。(社会人かつ非法学部出身者は重複してカウント)。
一橋大学法科大学院では、出身大学や社会人を問わずに意欲と能力のある人を受け入れています。
3-3:合格者のTOEIC最低点は750点
一橋大学法科大学院の入試では、英語能力による第1次選抜がおこなわれます。
事前に提出したTOEIC(またはTOEFL iBTのスコアをTOEICに換算したもの)の成績により、定員の約3倍の数まで絞られるのです。
足切りの点数は明確に示されていませんが、公表されている最終合格者のTOEIC点数の最低点が参考になるでしょう。
参照:一橋大学法科大学院「過去の入試関連情報」※各年度の「入試の経過と結果について」に記載
この合格者の最低点は、令和2年度入試までは450~540点程度でした。
しかし、令和5年度入試では未修者が675点、既修者が720点、令和6年度入試では未修者が760点、既修者が750点と年々上がっています。
実際の足切りの点数はこれより低い可能性がありますが、一橋大学法科大学院を本気で目指すのであれば、750点以上を獲得しておくことが賢明です。
3-4:募集人数
一橋大学法科大学院の令和7年度入学における募集人数は、以下のとおりです。
法学既修者の「5年一貫型教育選抜」は、一橋大学法学部の法曹コースに在籍中の学生が対象になります。
法曹コースとは、学部3年間と法科大学院2年間を通じて、効率的に法曹を目指せる5年一貫の教育制度です。
他の司法試験合格率上位校(東大、京大、慶應)が160~230名を募集しているのに対し、一橋大学法科大学院の募集人数は少なめです。
これは、一橋大学法科大学院が少人数教育を重視していることを示しています。
3-5:入試スケジュール
令和7年度入学の一橋大学法科大学院の入試スケジュールは、以下のとおりです。
一般的に、私立の法科大学院は6月頃から出願期間が始まり、試験は7~9月頃に実施されるため、私立との併願もできます。
また、予備試験は7月に短答式試験、9月に論文式試験、翌年1月に口述試験がおこなわれます。
よって一般選抜であれば、一橋大学法科大学院入試に臨む前に、予備試験論文式試験の受験が可能です。
法科大学院入試において予備試験の経験は大きな強みになるので、両試験を視野に入れた計画的な準備をおすすめします。
3-6:出願書類
一橋大学法科大学院の出願には、主に以下の書類が必要です。
- 入学志願書(所定の様式)
- 成績証明書
- 自己推薦書
- 入学検定料 30,000円
- 卒業(見込)証明書(一般選抜のみ)
- TOEIC 公式認定証又はTOEFL iBTスコア
(一般選抜のみ)
- 特記事項報告書
(一般選抜の法曹コース修了(見込)者のみ)
- 法曹コース必修法学部教育科目GPA報告書
(所定の様式、5年一貫型教育選抜のみ)
選抜枠によって必要書類が異なったり、出願資格によって追加書類が必要になったりするので、募集要項をよく確認してください。
自己推薦書は、任意の様式(書式の指定はあり)にこれまでの経験や学業・社会活動などに基づき自己アピールポイントを書く必要があります。
合否判定の審査対象となり、第3次選抜の面接試験では自己推薦書の内容から質疑がおこなわれることもあるため、以下の様式例を確認したうえで丁寧に作成しましょう。
3-7:選抜方法
一橋大学法科大学院の一般選抜は、第1次から第3次選抜があり、それぞれの合格者が次の選抜に進め、最終的に全体の結果を総合して合否が決定されます。
各段階の選抜方法と5年一貫型教育選抜の選抜方法は、以下のとおりです。
法学論文試験は、1科目でも一定の水準(一橋大学法科大学院2年次の授業に参加できる水準)に達していないと、総合得点に関わらず不合格となります。
面接試験は法律知識を問うものではなく、本学で学ぶ適正や法曹としての適性が審査されます。
令和6年度の入試では、12人が第3次選抜で不合格になっているので油断は禁物です。
志望理由や将来の法曹像、自己推薦書の内容など、問われそうな質問は事前に回答を準備しておきましょう。
3-8:筆記試験の出題傾向
第2次選抜の法学論文試験と小論文試験について、公表されている令和元年~6年の過去問を基に、最近の出題傾向を科目別に紹介します。
■憲法
表現の自由が頻出テーマで、最近は学校に関する問題が出されており、具体的事例を通じて権利の衝突や調整を問う傾向があります。
■民法
総則・物権・債権分野から実務的な事例を出題し、改正民法の理解も含めた総合的な応用力を問うのが特徴です。
■民事訴訟法
弁論主義や確認の利益など訴訟法の基本原則について、最高裁判例を素材とした実務的な事例問題で問う傾向があります。
■刑法
特に共犯論を中心とした総論と財産犯等の各論について、複数論点を組み合わせた実務的な事例問題が出題されています。
■刑事訴訟法
3つの小問形式で、自白・伝聞法則などの証拠法を中心に、基本概念や制度の正確な理解と理論的根拠の説明を求めるのが特徴です。
■小論文
哲学・倫理・政治思想の論文について、問1で読解・説明力を、問2で現代社会への応用的考察力を問う問題となっています。
3-9:おすすめの入試対策
一橋大学法科大学院の入試対策として、予備試験の受験をおすすめします。
予備試験の論文式試験は一橋大学法科大学院の入試前に実施されるため、高度な法的思考力と論述力を養う絶好の機会となるからです。
また、一橋大学法科大学院の受験者には、東大や慶應などの難関大学の学生、さらに予備試験経験者も数多くいるため、学習の質や量で差がつく可能性があります。
さらに、予備試験に合格すれば、早期により高い確率で司法試験合格を目指せる大きなメリットがあります。
一橋大学法科大学院入試の過去問は以下のサイトで公表されているので、出題傾向の把握のため、これらにも必ず取り組みましょう。
4章:一橋大学法科大学院の特徴
一橋大学法科大学院の特徴としては、以下の4つが挙げられます。
- 少数精鋭で教員との距離が近い
- 実務に即した教育が充実している
- 留年率が低い
- 入試の難易度が比較的高い
それぞれ説明します。
4-1:少数精鋭で教員との距離が近い
一橋大学法科大学院は、司法試験合格率上位の法科大学院の中でも、1学年約85名という少人数制であることが特徴です。
この少人数制により、授業では活発な質疑応答がおこなわれ、学生一人一人が主体的に参加することが求められます。
また、教員に直接質問や相談がしやすい雰囲気があり、自主ゼミが活発で学生同士で助け合う精神が根付いているのも、少人数制ならではの特徴でしょう。
さらに、1年次の未修者クラスには担任制度が導入されており、年2回の面談を通じて学修状況の確認や進路相談などがおこなわれます。
教員と学生の距離が近いことで、より実践的で密度の高い学びが実現しているのです。
4-2:実務に即した教育が充実している
その他の一橋大学法科大学院の教育内容の特徴は、理論と実務を効果的に結び付ける実践的な教育が充実していることです。
2年次において、実務の最前線に触れる機会として用意されているのが、エクスターンシップと法律相談クリニックです。
エクスターンシップは希望者全員が参加でき、法律事務所や企業法務部、官庁などで実地研修をおこないます。
法律相談クリニックでは、弁護士の法律相談に立ち会うことで、実際の問題解決のスキルが学べるでしょう。
3年次になると、民事・刑事両方の模擬裁判が必修科目となり、実務家教員の指導のもと法的思考力を磨きます。
また、ビジネスロー・コースでは、最新のビジネス現場を踏まえた授業が週1回実施されており、ビジネス法務に精通した法曹の育成にも力を入れています。
4-3:留年率が低い
一橋大学法科大学院は、留年率が高いといわれている法科大学院の中で、圧倒的に低い留年率を誇っています。
文部科学省が調査したデータによると、一橋大学法科大学院の令和4年度の留年率は、1年次から2年次で4.8%、2年次から3年次で7.5%となっています。
参照:文部科学省 令和5年度法科大学院関係状況調査「令和4年度留年率」
同じデータから、法科大学院全体の平均はそれぞれ38.5%、21.1%です。
司法試験合格率上位校の京大、慶應大、東大でも、それぞれ27~41%、16~23%なので、一橋大学法科大学院の留年率は相当低いといえます。
留年率が低いのは、学習支援体制が充実していることが考えられるでしょう。
1年次(法学未修者)への担任制度による定期面談や進級試験、成績不振者への個別面談など、きめ細かな学修支援体制が整えられているのです。
4-4:入試の難易度が比較的高い
一橋大学法科大学院の入試難易度は、全国の法科大学院の中でも比較的高いといえるでしょう。
1学年の募集人数が85名と比較的少ないうえに、例年高い司法試験合格率を誇る法科大学院であるため、東京大学や慶應義塾大学など、難関大学の学生も多数受験します。
直近の入試倍率は3倍以上を維持しており、これは司法試験合格率上位校である東大、京大、慶應大と比べても高い水準です。
最初の関門である第1次選抜では、TOEICなどの英語力の試験で高得点が要求されます。
その後の第二次選抜でも難しい筆記試験が課されますが、さらにその合格者に対して面接試験が実施されます。
この面接試験でも、令和6年入試では十数名が不合格となっており、入学までの関門は非常に厳しいといえるでしょう
5章:法科大学院ルートの場合も予備試験を受験するのがおすすめ
一橋大学法科大学院への進学を目指す方も、予備試験を受験するのがおすすめです。
予備試験は一橋大学法科大学院入試の試験範囲をカバーし、同じように法的思考力や論述力が問われるため、予備試験対策が入試対策に直結します。
しかも、予備試験合格者の司法試験合格率は90%以上を誇ることから、最短で司法試験合格を目指せるチャンスにもなります。
一橋大学法科大学院の入試では、東大や慶應などの難関大学出身者が多数受験しており、予備試験の経験者も少なくありません。
そのため、予備試験を受験していないと、他の受験生と比べて不利になる可能性があります。
法科大学院受験と並行して予備試験にも取り組むことで、合格の可能性を高めることができるでしょう。
もし法科大学院ルートと予備試験ルートのどちらを選ぶかで迷う方は、2つのルートを徹底比較している以下の記事を参考にしてください。
法科大学院と予備試験を徹底比較!司法試験合格におすすめのルートは?
まとめ|一橋大学法科大学院は少人数で切磋琢磨したい人におすすめ
一橋大学法科大学院は、トップレベルの司法試験合格率を誇る少人数制の法科大学院です。
一橋大学法科大学院の主な特徴としては、以下の点が挙げられます。
- 令和6年の司法試験合格率は3位
- 入試倍率は3~4倍
- 合格者の約6割が他大学出身者
- TOEIC点数による足切りや面接がある
- 少人数制で教員との距離が近い
- 留年率が低い
これらを踏まえたうえで、一橋大学法科大学院を目指す方には、まず予備試験の受験をおすすめします。
その主な理由は、以下の3つです。
- 予備試験のための勉強が一橋大学法科大学院の入試対策に直結する
- 予備試験未受験だと、他の受験生に比べて不利になる可能性がある
- 予備試験に合格できれば、最短での司法試験合格を目指せる
ただし、最難関といわれる予備試験の合格を目指すなら、試験に特化した効果的な対策が不可欠です。
「ヨビロン」では、予備試験特有の出題傾向と対策法を熟知した、予備試験1桁合格者が提唱する「客観的読解法」や「解法パターン」を学べます。
試験本番で初見の問題が出ても、確実に点がとれるこれらの方法は、他では絶対に学べません。
今なら、以下のLINE登録により、「解法パターン」とその活用方法などを解説した動画が無料でご覧いただけます。
ぜひ、最難関試験合格への第一歩として、お役立てください。
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