【実践ガイド】司法試験と予備試験のCBT化で必ずやるべき7つの対策

目次

この記事を読んで理解できること
- 司法試験・予備試験のCBT化の具体的内容
- 司法試験・予備試験のCBT化で何が変わるか?
- CBT化で不利にならないための7つの対策
- 試験当日のトラブルは過度に心配する必要はない
あなたは、
- 司法試験・予備試験のCBT化の内容が知りたい
- CBT化で具体的に何が変わるのかが知りたい
- CBT化に向けてどのような対策をすればいいのか分からない
とお考えではありませんか?
令和8年から司法試験・予備試験がCBT化することが決まっていますが、多くの受験者が不安を感じているのではないでしょうか。
CBT方式の試験では、パソコン上で答案を作成し、六法の参照や答案の構成も画面上でおこなう可能性があるため、これらの操作に事前に慣れておくことが重要です。
さらに、受験者全体の答案の質が向上することも考えられます。
しかし、新しい試験方式に慣れていない受験者が多い中で、適切な対策をとることで、他の受験者より有利になれる可能性もあります。
この記事を読めば、司法試験・予備試験のCBT化の内容や従来の試験との違い、具体的な対策まで知ることができ、CBT化への不安を解消できるでしょう。
具体的には、
1章で司法試験・予備試験のCBT化の具体的内容
2章でCBT化により何が変わるのか
3章でCBT化により不利にならないための7つの対策
4章で試験当日のトラブルへの対応
について、詳しく解説します。
CBT化の正しい知識と対策を理解しておくことで、司法試験や予備試験の学習に集中し、合格に向けた準備を確実に進めていきましょう。
1章:司法試験・予備試験のCBT化の具体的内容
CBT(Computer Based Testing)化とは、従来の紙の試験を、パソコンを使用してデジタル化方式で実施することです。
まずは、現時点(2025年1月時点)で判明している司法試験・予備試験のCBT化の内容について分かりやすく解説します。
なお、現在も法務省において、CBTシステムの開発や具体的な試験方法の検討が進められているところです。
今後詳細な情報が順次発表されるため、最新の状況は法務省のホームページで確認することをおすすめします。
参照:法務省「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」
1-1:司法試験・予備試験のCBT化の概要
司法試験と予備試験のCBT化の概要は、以下のとおりです。
試験だけでなく、これまで郵送でおこなわれていた出願手続と受験票・成績通知書の交付が令和7年試験からはオンライン化されます。
また、受験手数料の納付については、令和8年からキャッシュレス化が予定されています。
参照:法務省「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」
1-2:パソコン・キーボードの仕様と入力環境
試験会場で提供される予定のパソコンとキーボードの仕様は以下のとおりです。
出典:法務省「CBT方式による試験導入に関するQ&A【使用するパソコンについて】」
その他の入力環境や試験の実施方法については、現時点で法務省から以下のように説明されています。
- マウスは使用予定
- コピー、貼り付け、検索等は可能
- ショートカットキー機能は使用不可(マウス操作で実行)
- 予測文字変換、手書き入力等の機能は使用不可
- 短答式試験でも解答の修正や問題を一旦スキップすることは可能
- 法文は横書き表示
1-3:試験中の画面イメージ
試験中の画面で問題文、試験用法文および答案を表示したときのイメージは、以下のとおり示されています。
左側に問題文、右側上部に試験用法文(六法)、右側下部に答案用紙を表示している状態です。
画面上部に「コピー」「切取り」「貼付け」のボタンが設置されている他、問題文にマーカーする機能があったり、六法に検索機能があったりするのが分かります。
また、上部の一番左側に「構成用紙」のボタンがあるため、答案構成用の紙が配られず、画面上で考えなければならない可能性がある点は頭に入れておきましょう。
当日は、試験開始前に操作性を確認するための画面が用意される予定です。
1-4:体験版・プレテストの提供予定
CBT方式の試験に向けて、体験版が令和7年4月頃から提供される予定です。
体験版は法務省のホームページで提供され、操作マニュアルも同時に公開予定です。
まだ詳細は分かりませんが、プレテストも実施が予定されています(「デジタル社会の実現に向けた重点計画」工程表によると令和6年度と令和7年度に実施)。
参照:デジタル庁「『デジタル社会の実現に向けた重点計画』⼯程表」p24
これらの実施結果を踏まえて、実際の試験環境についてさらに改善が図られると考えられます。
2章:司法試験・予備試験のCBT化で何が変わるか?
司法試験・予備試験のCBT化によって、受験者に与える影響が大きい点は、以下の6つです。
- タイピングスピードが重要になる
- 問題文・六法・答案構成用紙もパソコン画面上になる
- 問題の傾向や採点方法が変わる可能性がある
- 全体的に答案の質が上がる可能性がある
- タイピング音で会場がうるさくなる
- 誤変換による漢字間違いがおこる
それぞれ説明します。
2-1:タイピングスピードが重要になる
CBT化により、答案の作成が手書きからタイピングに変わるため、タイピングスピードが試験結果に影響を与える可能性があります。
タイピングが得意であれば答案作成の時間を短縮でき、構成の検討や見直しに時間をかけられるため、答案の質を上げることができるからです。
タイピングスピードは手書きの筆記速度と比べて個人差が大きく、日常的にパソコン作業をしている人と、パソコンをほとんど触らない人では大きな差があります。
ただし、単に速いだけでなく、予測変換機能が使えない分、漢字などを正しく入力する正確さも求められます。
2-2:問題文・六法・答案構成用紙もパソコン画面上になる
法務省が公表した画面イメージにあるように、今は紙で配られている問題文や六法、答案構成用紙もすべてパソコン画面上で扱う可能性があります。
六法は電子政府の総合窓口(e-Gov)のような横書き表示となり、画面をスクロールして閲覧することになります。
縦書きの紙の六法から画面上の操作に変わるため、効率的に画面を切り替えて情報を探すことが難しい受験者もいるかもしれません。
また、メモや答案構成も画面上でおこなうとなると、相関図などが自由に書けなくなるため、不便を感じる受験者は少なくないでしょう。
紙の配布が一切なくなるかどうかはまだ確定していませんが、最悪の状況を想定しておく必要はあります。
2-3:問題の傾向や採点方法が変わる可能性がある
CBT化に伴い、司法試験・予備試験の問題傾向や採点方法が変更される可能性があります。
たとえば、タイピングにより答案作成のスピードが上がると考えられ、より多くの問題が出題されるかもしれません。
もしくは、考える時間が長くとれるということで、より思考力が試される問題になることも考えられます。
また、採点方法なども変更される可能性があります。
たとえば、タイピングの速い受験者が記述量で勝負しようとするのを防ぐため、加点方式ではなく減点方式が導入されたり、字数制限が設けられたりする可能性があるでしょう。
2-4:全体的に答案の質が上がる可能性がある
CBT化により、受験者全体の答案の質が向上する可能性が高いことも考えられます。
タイピングにより文字を書く時間が短縮される分、問題の分析や答案構成にあてる時間が増えるからです。
コピーや貼付けの機能が利用でき、編集や誤字脱字の修正も簡単にできるため、論理構成を整理しやすくなり、より洗練された答案を作成できるでしょう。
また、問題文や法令集もデジタル化され、解答に必要な情報を効率的に検索・参照できるため、必要な情報を迅速に引き出すことが可能です。
これらの状況は、受験者全員に共通することなので、全体の答案レベルが向上し、相対的に合格の難易度が上がる可能性があります。
2-5:タイピング音で会場がうるさくなる
試験中は、1会場あたり数百名規模の受験者全員が一斉にキーボードを叩くため、会場内の騒音が大きくなることが予想されます。
特に論文式試験では、大量の文章を入力する必要があるため、継続的なタイピング音が発生します。
このような状況下では、受験者によっては集中力が削がれ、答案作成に悪影響をおよぼすこともあるでしょう。
あらかじめCBT方式の模試を受けておくなど、同じような環境でのタイピング音に慣れておくことがおすすめです。
2-6:誤変換による漢字間違いがおこる
CBT化により、これまでの手書き答案では起こらなかった誤変換による漢字の間違いが起こり得ます。
手書きでは受験者が知っている漢字を書きますが、タイピングでは意図しない漢字に変換されることがあるからです。
法律用語には同音異義語が多く、たとえば「強迫(きょうはく)」を「脅迫」と誤変換したり、「享有(きょうゆう)」を「共有」と誤変換したりするケースが考えられます。
今回のCBT化では予測変換機能が使用できないとされているため、普段使っているパソコン以上に誤変換が起こりやすいでしょう。
特に試験本番では焦って入力し、変換確認がおろそかになりやすいので、変換後の漢字を十分に確認する習慣を身につけておくことが重要です。
3章: CBT化で不利にならないための7つの対策
CBT化による試験環境の変化に対して、不利にならないための対策は以下の7つが挙げられます。
- タイピングを練習する
- ショートカットやカスタマイズなしの操作に慣れる
- パソコン画面上で答案構成を考える
- マニュアルを熟読し体験版に慣れておく
- CBT方式に合わせた時間配分を考えておく
- CBT方式の模試を受けておく
- 本質的な問題の解き方を身につける
それぞれ説明します。
3-1:タイピングを練習する
CBT化対策として、タイピング練習は欠かせない要素の1つです。
タイピングのスピードと正確性が試験結果に大きく影響するからです。
具体的な練習方法として、「寿司打」や「e-typing」などのWeb上の無料タイピングゲームを継続的におこなうことが挙げられます。
「e-typing」のサイトで公表している基準によると、一般的な仕事で困らないスピードは、1分間に英数字で209文字(ひらがなで100文字程度)以上です。
まずはこのレベルを目標とすると良いでしょう。
参照:e-typing
また、予測変換機能をオフにした状態で過去問の答案を作成するなど、法律用語を含む文章を入力する練習も必要です。
普段Macを使用している受験者であれば、試験で使用されるWindows用の日本語キーボードとキー配列が異なるため、試験対策用のキーボードを用意することも検討しましょう。
3-2:ショートカットやカスタマイズなしの操作に慣れる
CBT方式の試験では、普段使い慣れているパソコンの便利な機能の多くが使えません。
法務省が公表している情報によれば、ショートカットキー、予測変換、手書き入力といった機能は使用できない予定だからです。
このため、コピーや貼り付けなどの基本的な編集機能はマウス操作でしか実行できず、単語の入力も全て手動でおこなわなければなりません。
このような機能制限がある状況でも、効率的に答案を作成できるように、事前に標準設定での文章入力に十分慣れておくことが重要です。
3-3:パソコン画面上で答案構成を考える
従来の試験では、答案構成用紙に手書きでメモを取りながら思考を整理することが一般的でした。
しかし、CBT化後は紙が配られない可能性があり、画面上で答案構成を考えられるようになっておく必要があります。
答案構成用の画面があると想定し、Wordなどの文章作成ツールに、問題文から重要な事実を抽出して整理したり、論点を箇条書きにしたりする練習をすると良いでしょう。
画面上では手書きのように図が簡単に描けないため、代わりに言葉で関係性を表すなどのスキルが必要です。
文章のコピー&ペーストや加筆修正が容易という利点を最大限に活用して、効率的な答案構成の方法を確立すれば、試験本番で大きなアドバンテージとなるでしょう。
3-4:マニュアルを熟読し体験版に慣れておく
基本的なことですが、令和7年4月頃に法務省から提供される操作マニュアルを熟読し、体験版に十分に慣れておくことは必須です。
画面の切り替え方法、編集機能の使い方、六法の参照方法、答案の一時保存や提出の手順など、具体的な操作方法を事前に把握しておくことが重要です。
また、試験本番で不利にならないように、使用できる機能はすべて把握し、使いこなせるようになっておきましょう。
体験版を試すときは本番と同じ時間配分で練習問題を解き、実際の試験の流れをシミュレーションすることで、より効果的な対策となります。
3-5:CBT方式に合わせた時間配分を考えておく
CBT化により、手書きを前提とした試験の時間配分を見直す必要があります。
答案作成のスピードが速くなる分、問題文の読解や答案構成の検討に多くの時間をあてて、より答案の質を高めることを目指しましょう。
試験本番で注意したいのが、文章の追加や修正が容易になったことで、逆に細かい表現の修正に時間を費やしすぎてしまう可能性があることです。
そのような事態を避けるためには、試験全体の時間配分を事前に決めておくことが重要です。
さらに、体験版やCBT方式の模擬試験で練習を重ねることで、自分に最適な時間配分を見つけることができるでしょう。
3-6:CBT方式の模試を受けておく
CBT方式の試験に適応するためには、体験版の利用に加え、CBT方式の模試を積極的に受けることが重要です。
体験版では再現できない、実戦的な環境での練習が可能だからです。
特に他の受験者のタイピング音が響く中で、集中力が維持できるかどうかは、事前に体験しておいた方が良いでしょう。
本番と同じような緊張感の中で、パソコンでの答案構成がスムーズにできるか、時間配分は適切かなどを確認できます。
現時点ではどのような模試が実施されるかは分かりませんが、体験版やマニュアルの提供が開始された頃に、情報収集をおこなうと良いでしょう。
3-7:本質的な問題の解き方を身につける
CBT化に対応するためのテクニックも重要ですが、本質的な問題の解き方を身につけ、質の高い答案を作成することがこれまで以上に重要になります。
先ほど説明したように、CBT化により受験者全体の答案の質が向上する可能性があるからです。
文章の作成と修正が容易になるため、記述の量や表面的な文章力だけでは他の受験者との差別化が難しくなります。
試験で高得点を獲得するには、問題の本質を的確にとらえた質の高い答案が求められるようになるでしょう。
このため、出題の意図を正確に読み解き、的確に論証を組み立てる力が不可欠です。
4章:試験当日のトラブルは過度に心配する必要はない
試験当日のトラブルについて不安を感じている受験者は多いかもしれませんが、過度に心配する必要はありません。
パソコンやシステムのトラブルは、運営側が対応するのが基本です。
今後、法務省から具体的な対処方法に関する詳細な説明があるでしょう。
万が一トラブルが発生した場合は、無理に自分で対処しようとせず、速やかに試験監督員に申し出ることが重要です。
法務省の委託調査によれば、海外の先行事例では、当日のトラブルに対し紙ベース試験への切替えや試験時間の延長、ITスタッフによる対応などの措置がとられています。
参照:「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化に向けた調査研究及び調達支援業務の請負一式」
これらの事例を参考にして、日本においても、受験者が不利益を被ることのないよう、適切な対応策が示されることが期待されます。
まとめ|司法試験・予備試験のCBT化に合わせた試験対策が必要
令和8年から司法試験・予備試験はCBT化され、紙ベースの試験からパソコンで答案を作成するデジタル化方式の試験に移行します。
手書きからタイピングでの答案作成に変わるため、タイピング速度やパソコン画面上での操作スキルが合否に影響します。
さらに、答案作成の時間が短縮されることで、問題の分析や答案構成に割ける時間が増え、受験者全体の答案の質が向上する可能性もあるのです。
この新しい試験方式において不利にならないためには、以下の7つの対策が効果的です。
- タイピングを練習する
- ショートカットやカスタマイズなしの操作に慣れる
- パソコン画面上で答案構成を考える
- マニュアルを熟読し体験版に慣れておく
- CBT方式に合わせた時間配分を考えておく
- CBT方式の模試を受けておく
- 本質的な問題の解き方を身につける
特に、これまで以上に答案の質が求められるという点で、本質的な問題の解き方を身につけることがますます重要になってきます。
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