財産権の解法まとめ

(解法1)事後法か法制度保障か

事後法による財産権の変更か、法制度保障の事例か検討せよ。
前者は農地売渡特措法事件、後者は森林法・証取法

ただし、両者が重なる場合はある。

(解法2)具体的権利か期待的利益か

当該権利が、具体的権利か期待的利益か検討せよ。

①具体的権利→審査基準が厳格な合理性の基準、損失補償の対象

②期待的利益→総合衡量型の審査基準、損失補償の対象にならない可能性

(解法3)近代市民社会の原則(森林法)

当該財産権が近代市民社会の原則的なものか検討せよ。
国王に収奪されていて市民革命で勝ち取った権利と本当にいえるか検討せよ。

具体的には、慣習的な権利(古くからある)や逆に新しすぎる財産権(大麻合法化の場合の大麻)は近代市民社会になって勝ち取ったものではなく、森林法のロジックを使うのは慎重に(使えるとしても必ず反論・私見で書くことになる。)

(解法4)売却など民法上の権利自体は行使できるか否か

売却自体はできる場合は国側に有利な事情となる。
他方、売却自体ができない場合は違憲方向に働く事情となる。

森林法→共有物分割請求権行使できず
証取法、国有農地売渡特措法→売却自体はできる(あとは価格の問題)

(解法5)内在的制約があるか否か

もともと危険性を伴う等、制約が已むを得ないものであれば、財産権の制約や損失補償が不要であることが正当化されやすい

例:奈良県ため池条例

(解法6)土地か否か

土地の場合、相隣関係や消極規制だけでなく、美観風致など土地本来の効用の発揮のために他の財産権より制約が正当化されやすい。