【保存版】意外と検討する必要がある目的審査。目的審査にまつわる全論点を網羅的に解説!司法試験頻出の予防原則についても完全フォロー【パターナリズム、予防原則、目的二分論】

監修者
講師 赤坂けい
株式会社ヨビワン
講師 赤坂けい
【保存版】意外と検討する必要がある目的審査。目的審査にまつわる全論点を網羅的に解説!司法試験頻出の予防原則についても完全フォロー【パターナリズム、予防原則、目的二分論】
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チェック
この記事を読んで理解できること
  • 目的の重要性の類型
  • 目的の重要性は権利・利益侵害の蓋然性まで考える必要がある
  • 予防原則
  • 目的が複数存在する場合の処理
  • パターナリズム

三段階審査なり目的手段審査なりする際に、受験生の目が行きがちなのは、手段審査(LRA、実質的関連性)なのではないでしょうか。

目的審査を簡単に「目的は重要である」など通過させることでたくさんの人が点数をボロボロ落としています。

目的審査についてもしっかりと点数がふられています。
しかし、目的審査は手段審査に比べて知識で対応できる側面も多いので、この記事で網羅的に紹介する知識を頭に入れて、本番で点数を落とすことのないようにしていただけたら幸いです。

本記事を読むだけで、予備試験・司法試験のトップ層が頭に入れている目的審査の考慮事項を全て網羅できますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

第1章 目的の重要性の類型

1 基本的理解の整理

まず、基本的な話ですが、目的審査において目的は大きく分けて三種類存在します。

注意点

①已むに已まれぬ利益:厳格審査基準
②重要な目的:厳格な合理性の基準
③正当な目的:合理的関連性の基準

2 実践的な類型

さて、上のような分け方をしても実際に問題に対応できるわけではありません。
実践的に目的を類型化してみましょう。

注意点

ⓐ憲法上の権利 
 例:生命、プライバシー権等
ⓑ憲法上の権利ではないが憲法上の要請
 例:選挙の公正
ⓒ憲法上の要請ではないが判例上重要な権利 
 例:美観風致
ⓓ許されない目的
 例:パターナリズム(未成年保護)

ⓐが「重要な目的」となることは議論の余地がないように思えます。
ⓑやⓒについては、本当に重要な目的であるかについて、答案で主張反論する余地があります。

(なお、ⓑのうち「選挙の公正」は「已むに已まれぬ利益」と扱うことは後述します。)

そして、ⓓは憲法上目的とすること自体が許されない反対利益であり、当然「重要な目的」とはいえません。しかし、未成年保護等のパターナリズムの場面においては、例外的に「重要な目的」となることがあります。

また、目的の重要性を論じる場合においても、「美観風致保護の重要性」一般論を述べるのではなく、問題文の特殊性をうまく拾って重要な目的であることを論じていくことで点数が積み重なります。

例えば、問題文に、観光地の外観を保護するために住民の不断の努力があったというような事実があれば、それを目的の重要性を補充する事実として指摘しましょう。

3 「選挙の公正」という「極めて重要な法益」について

実は、司法試験でも予備試験でも「選挙の公正」という反対利益が出題されることはよくあります。

全ての受験生は、「選挙の公正」が判例上、「已むに已まれぬ利益」として認められることを知っておきましょう。連座制合憲判決は選挙の公正という利益について以下のように述べます。

・連座制合憲判決 最判平成9年3月13日

「法二五一条の三の規定は、このように、民主主義の根幹をなす公職選挙の公明、適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益を実現するために定められたものであって、その立法目的は合理的である。」

判例が特定の法益を「極めて重要な法益」として言及することはかなり珍しいものです。この一文からしても、判例は、憲法上の要請である「民主主義の根幹」を保持するために、「選挙の公正」を「已むに已まれぬ利益」と考えている証拠となります。

したがって、「選挙の公正」は厳格審査基準を採用したとしても、目的審査を突破する反対利益ですから、このことは息を吸うようにできるようになりましょう。
予備試験・司法試験頻出の知識です。

第2章 目的の重要性は権利・利益侵害の蓋然性まで考える必要がある

1 権利侵害の蓋然性について

さて、あまりにも頻出かつ基本的な話であるにもかかわらず、従来の予備校の間違った指導からか、受験生にあまり理解されていないことがあります。

それは、

注意点

単に目的として掲げられている利益が重要であったとしても、それによりただちに規制目的が重要とはならない

といことです。

「なんで?」と思った人は以下のような場合どうでしょうか。

例えば、「生命」というのは憲法上も要請される極めて重要な利益です。
これを守るためなら「重要」な利益どころか「已むに已まれぬ利益」ともいえそうです。

しかしもし、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の後継団体である某団体が信者をひきつれて街にやってきたときに、

「生命を保護するために当該宗教団体の入居を禁止する」

という条例を作った場合、そもそも「生命」が害されるというのは杞憂にすぎないということはないでしょうか。
つまり、単に漠然と「オウム真理教徒同じようにテロ行為を行うのでは?」という不安をもって、「規制目的が重要である」と解するのは相当ではないのではないでしょうか。

つまり、目的の重要性を考える際には、人権を制約する反対利益の重要性そのものだけでなく、反対利益が侵害される蓋然性が必要ということなのです。

すなわち、目的審査で考えることは以下のようになります。

注意点

反対利益そのものの蓋然性
×
反対利益侵害の蓋然性

「反対利益が侵害される蓋然性」がないのであれば、抽象的利益ということになり目的は重要とは言えません。

このことは憲法の基本書にもきちんと書かれています。宍戸先生ほか3名の教授がかかれている『憲法Ⅰ 基本権(第2版)』(日本評論社、2023年)の記述を見てみましょう。

・宍戸常寿ほかp76~p77(松本和彦執筆部分)

「規制の目的が、基本権行使によってもたらされる弊害の防止にあるというケースが少なくないが、その場合、弊害といわれるものが本当に発生するのか、どの程度の蓋然性でもって発生すると考えられるのか、問われなければならない。自由な基本権行使を認めても、そもそも弊害など生じない、あるいは弊害の発生確率は低いという場合は、弊害の防止という規制目的も杞憂の産物にすぎなくなるからである。本権行使と弊害発生の間の因果関係がない、あるいは乏しいという場合は、規制目的の正当性に疑問が呈されよう。」(注:下線は筆者が追記)

なので、発生可能性が低い害悪に着目する場合は、いかに反対利益そのものに価値があったとしても、抽象的利益にすぎず、「目的は重要ではない」ということになります。

※なお、可能性が低いまたは可能性について客観的証拠がない場合にも、目的が重要といえる場合があります。
それが予防原則なのですが、予防原則については、第2章で詳しく解説したいと思います。

2 抽象的な利益の具体例とその処理法

以下のような漠然とした利益が問題文で掲げられていた場合、少なくとも人権を主張する側の主張としては「目的は重要ではない」と指摘する必要があります。

注意点

「安心」「平穏」「公の秩序」「苦情」「懸念」etc

上に掲げるような言葉が問題文中に存在する場合は、目的審査で切ることを考える必要があります。

また、抽象的利益であると指摘された公権力側の反論する方法としては次の3パターンあります。
解法としてストックしておくとよいでしょう。

指摘された公権力側の反論する方法

①杞憂ではなく、実際に弊害が生じる可能性が高いことを過去の経緯から指摘する。
②合憲限定解釈をすることで、具体的利益に格上げする
③予防原則を適用する

このうち③は第2章で指摘します。

・①については、
例えば問題文中で、「反対利益を保護するためにどのような努力がされていたのか」や「反対利益を侵害するような過去の事例が実際に存在している」ことが指摘されている場合に、「単なる杞憂ではなく、現実の可能性として存在する」と指摘することとなります。

典型的な例としては、令和3年司法試験のような集会の自由の規制について、過去にデモ行進参加者が実際に周辺住民や飲食店で暴行や窃盗などをしていたという事実があった場合などでしょう。

・②については、
例えば泉佐野市民会館事件において、問題となった条文の要件である「公の秩序を乱すおそれ」の「公の秩序」が漠然であり広範となってしまうため、このままでは集会の自由を違法に制約する条文となってしまいます。

そこで、泉佐野市民会館事件は以下のように述べて、「公の秩序」を「生命、健康又は財産」という具体的利益のことであると合憲限定解釈をして条文を守っています。

・泉佐野市民会館事件 最判平成7年3月7日

「「公の秩序をみだすおそれがある場合」を本件会館の使用を許可してはならない事由として規定しているが、同号は、広義の表現を採っているとはいえ、右のような趣旨からして、本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、本件会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり」

なお、泉佐野市民会館事件の合憲限定解釈に関しては、以下の記事で詳しく解説していますのでそちらも参照してみてください。

記事リンク:~泉佐野市民会館事件の限定解釈~

第3章 予防原則

1 予防原則の一般論

さて、あまり予備校では類型的に教えていることが少ないため、受験生の共通了解とはまだ至っていないのですが、司法試験では当然の知識として出題されまくっているのが、この章で取り扱う予防原則です。

第1章で、反対利益が害される蓋然性が低い場合は、目的審査を通過しないということを述べました。
しかし、予防原則は、「いったん反対利益が侵害された場合に取り返しがつかない場合は、かかる事態が発生する可能性が不明である場合も、予防的に規制をすることができる」とい原則のことです。

最近では宍戸先生らの基本書でも紹介されている重要な考え方です。

司法試験では明確に予防原則の検討を必要とされたのは、遺伝子研究(平成21年司法試験)と性犯罪者の再犯防止のための継続監視(平成28年司法試験)です。

この記事では遺伝子研究が題材となった平成21年司法試験についてみていきましょう。

2 遺伝子研究:平成21年司法試験憲法を題材に

平成21年において、遺伝子研究の危険性について問われる問題が出題されています。

遺伝子には未知の部分も多く、遺伝子研究の結果、人類の尊厳を揺るがすような事態が発生する可能性があるため、規制の必要性があるのではないかという問題です。

確かに、「人類の尊厳」という利益は極めて重要な利益です。

しかし、「遺伝子研究が人類の尊厳を揺るがす取り返しのつかない事態を招くか」どうかについては、いまだ根拠がありません。

とすれば、第1章で紹介した目的審査の基本的な理解からすると、「人類の尊厳」が害される可能性が不明である以上、目的審査を突破できないことになります。

しかし、これでは「取り返しのつかない事態」を未然に防ぐことができません。
したがって、予防原則を働かせて目的は重要であると認定することになります。

私の論証としては以下のようになります。参考にしてみてください。

(論証)主張反論パターン 予防原則(遺伝子研究)

(原告)
遺伝子治療の規制とそれに伴う害悪の発生については十分に根拠が存在せず単なる不安感にすぎない。したがって、目的は重要ではない。

(反論)
遺伝子研究のような先端技術の研究は取り返しのつかない事態が発生することが想定され、科学的根拠がいまだないことを理由に規制できないのでは、事後の回復が著しく困難な事態が発生するおそれがある。

したがって、予防原則を適用し目的の重要性を認めるべきである。

※なお例えば、クローン規制や仮想通貨規制(シンギュラリティ等)などが出題された場合も同様の考慮が必要です。

また、平成28年司法試験においても、性犯罪者の再犯防止という観点で予防原則の検討が求められています。
ここでは、出題趣旨を引用しておくにとどめておきます。実際に司法試験で問われていることだということを理解しておいてください。

平成28年司法試験憲法出題趣旨

「本件規制にあっては,法による「既遂の行為に対する制裁」の威嚇を通じた伝統的な基本権制限が問題となっているのではなく,将来における害悪発生を予防するために現時点において個人の行為に制限を課す,いわゆる「規制の前段階化」と呼ばれる傾向の権力行使の憲法上の正当性が問われていることが問題となる。「被害が発生してからでは遅すぎる」という発想で,被害発生を不可能にすることを狙った公権力行使が行われるわけだが,それは,基本権保障との関係でどのように評価されるべきか。害悪の発生につながり得る行為を包括的に制限し得ると考える「予防原則」を,犯罪予防との関係でも採用し得るのか。伝統的な基本権保障の枠組みでは,もともと,権利行使の結果として害悪が発生する(ことが立証可能な)場合に限って権利制限が正当化されると考え,その限りにおいて権利保障が原則,権利制限が例外であると位置付けられるが,予防原則を全面的に採用した場合には,この原則・例外関係が逆転し,害悪発生の可能性だけで権利制限が広範に正当化されることになる。」

第4章 目的が複数存在する場合の処理

さて話を少し変えて、目的審査において問題文で書かれている目的が複数存在する場合に、複数の目的をどのように処理するのかについて解説していきます。

先に結論を述べますと、複数の目的についてそれぞれすべてに目的手段審査をすることはかなりレアケースとなります。

一般的には以下のような検討をしたうえで、目的手段審査をする目的を主張反論の過程で一つに絞ることが解法となります。


(解法)複数の目的が問題文にある場合は以下の方法で一つに絞れないか検討せよ!

①抽象的利益として重要でない目的を検討対象から排除する。
②中間目的にすぎない目的を検討対象から排除する。
③主たる目的のみ検討し、副次的・付随的目的は排除する(職業の自由の問題で多い)。

それぞれについて、細かく見ていきたいと思います。

1 ①抽象的利益として排除する

これは、第1章で学んだことを利用します。
AとBの二つの目的があった場合に、Bの目的については抽象的利益であるとして排除して、以後Aの目的についてのみ目的手段審査するという手法です。

こちらは、イメージがつきやすいのではないでしょうか。


2 中間目的にすぎない目的を排除する

例えば、距離制限が問題となった薬事法違憲判決の事例において、距離制限を設けた目的は、

注意点

距離制限による開業規制

過当競争を防止し既存薬局を保護
(積極目的)

不良医薬品の流通を防止
(生命・健康の保護)

なのですが、途中にある「既存薬局の保護」は特定業界の保護であり積極目的にあたります。積極目的が中間目標として設定されているのです。
このような場合でも、薬事法違憲判決は消極目的である不良医薬品の流通を防止(消極目的)に限定して論じています。

このように、複数の目的がある場合は、上記のように矢印で因果関係を特定して、中間目標は最終目標に吸収されたものと考えることになります。

距離制限
中間目標

過当競争の禁止

最終目標

不良医薬品の流通防止
これを中心に検討

※ただし、中間目標は必ずしも検討から排除されるわけではありません。しかし、司法試験や予備試験において中間目標についてまで分析的に検討させる問題が出題された場合は、かなりの難問になると思われます。

原則的な処理法をまず理解してから応用に入った方がよいと思われますので、まず、薬事法判決での処理を覚えてください。

3 主たる目的のみ検討し、副次的・補充的目的は排除する

職業の自由の問題でのみ問われる形式ですが、複数の目的が問題文で出題される場合であり、2で紹介したような中間目標・最終目標のような関係でもない並列な目的であったとしても、副次的・補充的目的を検討から排除することができます。

薬事法判決を見てみましょう。

・薬事法判決

「その提案の理由として、一部地域における薬局等の乱設による過当競争のために一部業者に経営の不安定を生じ、その結果として施設の欠陥等による不良医薬品の供給の危険が生じるのを防止すること、及び薬局等の一部地域への偏在の阻止によつて無薬局地域又は過少薬局地域への薬局の開設等を間接的に促進することの二点を挙げ、これらを通じて医薬品の供給(調剤を含む。以下同じ。)の適正をはかることがその趣旨であると説明しており、薬事法の性格及びその規定全体との関係からみても、この二点が右の適正配置規制の目的であるとともに、その中でも前者がその主たる目的をなし、後者は副次的、補充的目的であるにとどまると考えられる。」

まとめますと以下のようになります。

距離制限の目的

①主たる目的:過当競争の防止⇒不良医薬品供給の防止
②副次的・補充的目的:過少薬局地域への開業の促進

しかし、どう考えても、薬事法は国民を不良医薬品から守ることが目的であり、②過少薬局地域への開業促進はあまりにも「ついでに出てきた」目的です。
このような目的を、薬事法判決は副次的・補充的目的と述べ、以後の判示では当該目的は触れられなくなります(手段審査はしない)。

距離制限の目的
主たる目的

過当競争の防止⇒不良医薬品供給の防止

副次的・補充的目的

過少薬局地域への開業の促進


検討しない

この観点で予備試験や司法試験では何度も聞かれています。

例えば、平成26年予備試験の問題を見てみましょう。
以下のリンクで平成26年予備試験憲法の問題が見られます。

https://www.moj.go.jp/content/000125208.pdf

問題では第三段落において、

「第一の目的は,共同でイベントを開催するなど大型店やチェーン店を含む全ての店舗が協力することによって集客力を向上させ,商店街及び市内全体での商業活動を活性化することである。第二の目的は,大型店やチェーン店をも含めた商店会を,地域における防犯体制等の担い手として位置付けることである。」

との記載があります。このうち、条例によってどうしても達成したい目的は第一段落と第二段落を見ていただければ、第一の目的である「商店街及び市内全体での商業活動を活性化すること」が本件規制の主たる目的であることが分かります。
他方、第二の目的である「防犯目的」は第一段落で軽く触れられているにとどまり、本当に達成したい目的と読むことは到底できません。

したがって、第二の目的は職業の自由との関係において、副次的・補充的目的にとどまり、目的二分論や目的手段審査において検討対象となる「目的」ではなくなることになります。

第5章 パターナリズム

1 パターナリズムの基本的な考え方

第3章までのように、一般的に人権の制約を正当化できる目的は、その人権の行使により他者の人権が制約を受ける場合です。「自由にしてもいいが他人に迷惑をかけるな」とうことです。これを他者加害原理といいます。

ですので、基本的に「あなた自身のために」人権を制約することは自己決定権を害するものであり許されません。

パターナリズム的な目的は、憲法上許されない目的なのです。

2 例外的にパターナリズム的制約が許される場合

しかし、例外的にパターナリズム的な制約が許される場合があります。
その典型例が未成年の保護です。

岐阜県青少年保護育成条例事件のような、未成年に対する悪い影響を防止するために未成年の知る自由を制限する規定に関する出題は司法試験頻出です。

未成年保護という目的は、未成年の行動により迷惑を被る他者を保護する目的ではありません。

しかし、未成年の判断能力が未熟であることに着目して例外的にパターナリズム的制約が許されることになります。

パターナリズムについては、別記事で詳しく取り扱うことにして、ここではよく使う主張反論パターンを用意しておりますので、参考にしていただけたらと思います。

主張反論パターン
パターナリズム(未成年に対する有害図書規制)
原告

子どもの人権を保護するという目的は自己決定権を侵害するものであり、憲法上許されない目的である。

反論

性的文書や残虐な内容の文書が未成年の健全な育成にとって有害であることは既に社会共通の認識になっており、重要な目的といえる(青少年保護育成条例事件伊藤補足意見)。

私見

パターナリスティックな制約は未成年の精神的未成熟に由来する害悪から保護するための制限であることから、完全な自由意思による自己決定権を有する成人とは異なり、保護する必要性が高く目的は重要である。

そして、未成年はこのように判断能力が未成熟で情報の影響を受けやすいため、成人と同等の知る権利が保障される前提を欠く。

したがって、内容の害悪性に着目した内容規制であったとしても審査基準を若干緩めにして厳格な合理性の基準を採用すべきである。

第6章 まとめ

以上のように、目的審査一つとっても、かなり検討する事項が存在し、予備試験や司法試験において毎回異なった出題がされています。

かなり情報量がある記事となり、一回ですべてを理解していただく必要はありません。
この記事を辞書のように何度も見返していただいて頭に入れていただけるとかなり穴がなくなると思いますので、ぜひ何度も見直してくださいね。

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